波形スレート屋根のアスベスト安全対応とカバー工法

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老朽化した波形スレート屋根は見た目の劣化だけが問題ではありません。「アスベスト(石綿)」の潜在リスクを抱えています。とくに1970〜1990年代に建築された工場や倉庫の屋根材には、高確率でアスベストが含まれているため要注意です。対策を行わず撤去や穴あけ作業を行うと、粉塵として飛散し、作業者や周辺環境に健康被害をもたらす恐れさえあります。
ただし、すべての改修で撤去が必要なわけではありません。現在では、アスベストを「封じ込め・固定化」し、建物の機能を維持したまま安全にリニューアルできるカバー工法(重ね葺き) が主流になっているからです。
そこで今回のお役立ちコラムでは、波形スレート屋根のアスベストに関する安全手順、法令に基づく届出や調査方法などをくわしくお話しします。実際の施工で採用されるカバー工法の特徴と注意点まで、わかりやすくまとめています。
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アスベスト含有スレート屋根の現状とリスク
アスベストは耐火性・強度・断熱性に優れていたことから、かつて建築資材に広く使用されていました。とくに波形スレート屋根(スレート波板)は、工場・倉庫・体育館などの軽量屋根として、全国的に普及した経緯があります。
ただ、2006年に全面使用禁止となり、それ以前に施工された建物ではアスベストを含んだ屋根が多数残っているのです。屋根材が経年劣化によって脆くなると、風雨・衝撃・補修作業の際に粉塵が飛散する危険性もあります。人間が吸入した場合、中皮腫・肺がんなどの健康被害を引き起こすため、取り扱いにはくれぐれも注意しなければなりません。
労働安全衛生法
労働安全衛生法は厚生労働省管轄で、作業員の健康を守るための法律です。アスベストを扱う現場では、以下のような、事前調査・届出・安全な作業手順の3点が義務化されています。
万が一届出を怠ったり、安全基準を守らなかったりした場合、最大で50万円の罰金や6か月以下の懲役を課せられることもあります。
大気汚染防止法
こちらは環境省管轄で、周辺住民や環境への粉塵被害を防ぐための法律です。守らなければ6か月以下の懲役または50万円以下の罰金です。
参照:AIG損保 【弁護士解説】建物建設・解体工事におけるアスベストの法規制と建設業者の責任
法令遵守のための安全手順と届出の流れ

ここからは法令を守るための安全手順や届出の流れについてお話しします。
アスベスト含有調査の実施
工事を計画する際、まず行うべきは 「事前調査」 です。これは建築物石綿含有建材調査者の資格を持つ技術者が、屋根材をサンプル採取し、JIS A 1481 に基づいた分析を行います。
分析結果は「含有あり」「なし」「不明」に区分され、含有が確認された場合、労働基準監督署と自治体環境課へ届け出る流れです。調査記録と分析報告書は、施工後5年間の保存義務があります。
作業計画と届出
除去を行う場合は、以下2種類の届出が必要です。
- 労働安全衛生法 第88条届出:作業開始30日前までに労働基準監督署へ提出
- 大気汚染防止法 第18条届出:当該施設が一般粉塵発生施設となった日から、30日以内に都道府県知事へ提出
アスベストに関連する届出は、届出書や事前調査結果報告書や、特定粉塵排出等作業実施届出書、建設工事計画届出が必要です。
安全施工と粉塵管理の具体策
アスベストを含む波形スレートなどを改修・撤去する場合は、作業中に粉塵が飛び散らないようにすることが最も重要です。
湿らせて作業する(湿潤化):アスベストが含んだものを乾いたまま切ったり壊したりすると、粉塵が空気中に広がります。そのため、作業中は常に水や薬剤を噴霧して湿らせることが義務付けられているのです。これを「湿潤化」と呼び、粉塵発生を大幅に抑えられます。
作業場所を囲う:現場全体をビニールシートなどで囲い、密閉空間をつくることは必須です。中の空気を「陰圧(負圧)」にして、外へ漏れないようにします。集じん機にはHEPAフィルターを使い、空気をきれいにして排出する流れです。
作業員の防護:作業員は、防塵マスク(P3等級以上)や防護服、手袋を必ず着用します。作業後は服やマスクを持ち帰らず、現場で廃棄が必要です。また、現場に更衣室やシャワー設備を設け、粉塵を持ち出さないようにします。
周囲への配慮:作業区域の10メートル以内は立入禁止にし、換気口や出入口はすべて密閉します。工事の様子や測定結果を記録に残すことで、後から行政確認や安全証明にも使えるのです。
濃度測定と作業終了:作業中と完了後には、空気中のアスベスト濃度を測定します。基準値(0.01本/cm³以下)の条件を満たしているか確認し、養生を外して作業完了です。
廃材処理:取り外したスレートや防護服などは密閉して袋詰めし、許可を受けた処理業者に運搬・処理してもらいます。処理記録(マニフェスト)は必ず保管します。
個人防護具(PPE)
作業員は以下の装備を必須とします。
防じんマスク:区分3(P3等級)またはそれ以上の性能(JIS T8151)
防護服:使い捨て型(タイベック等)、フード付き全身保護タイプ
手袋・安全靴:使用後はアスベスト廃棄物として処理します。
周辺環境への配慮

作業現場の安全管理は、内部だけでなく周囲環境への影響防止も不可欠です。
立入禁止区域の設定:作業エリアから半径10m以内は立入禁止区域を設定し、警告表示を掲示します。
搬入口・換気口の密閉
粉塵が外部に漏れないよう、搬出路や換気口を養生テープ等で密閉します。必要に応じて「二重養生」や「簡易エアロック」を設けて、資材搬出時の空気漏れを最小化しなければなりません。
作業の可視化と記録
工事中は、以下の記録を作業日報や管理台帳に残すことが求められます。
- 作業前・作業中・作業後の写真記録
- 空気中濃度測定結果
- 使用機材(集じん機・噴霧器)の型番・稼働時間
- 作業者名・資格・防護具使用状況
これらは行政監査や第三者調査で「安全施工の証拠」として重視されます。とくに公共施設や法人案件では、完了後に「除去完了報告書」として提出が必要です。
撤去より安全な選択肢としてのカバー工法
アスベストが含まれる屋根を全面撤去する場合、作業区域の封じ込め・養生・運搬・廃棄処分など、多くの工程と費用が発生します。
一方、カバー工法は既存の屋根材を撤去しません。そのまま新しい屋根を重ねる方法で、飛散リスクを最小限に抑えながら耐久性を高める改修法として広く採用されています。
カバー工法の仕組みとメリット
カバー工法は、既存の波形スレート屋根を撤去せずに、その上からガルバリウム鋼板などの軽量金属屋根を重ねて施工する工法です。これにより、アスベストを完全に封じ込められますし、粉塵が飛散するリスクをほぼゼロにできます。
また、内部に断熱材や遮熱シートを組み込む構成なら、屋根の表面温度を10〜15℃下げることも可能です。結果、工場内の温度上昇を抑え、省エネ効果や作業環境の改善にもつながります。既存屋根を撤去しないため、工場稼働を止めずに施工できる点もメリットです。
構造上の注意点と法的確認
カバー工法は既存の屋根の上に新しい屋根を重ねるため、建物への加重が増えます。とくに鉄骨造や軽量鉄骨造では、加重の影響を受けやすく、構造計算による耐荷重確認が欠かせません。
施工にあたっては建築基準法に基づく構造安全性の確認と、屋根下地の錆び・腐食状態の点検は必須です。これらの確認を怠ると、長期的な安全性や保証に影響しかねません。
カバー工法はアスベストを撤去するのに比べて、コストとリスクを大幅に抑えられる現実的な選択肢です。
飛散防止・断熱性能・稼働効率を同時に確保できるため、安全性と経済性を両立した屋根改修方法として、多くの法人施設で採用されています。
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FAQ

Q1:自社でアスベストの有無を確認できますか?
A.目視やカタログだけでは判別できません。必ず「建築物石綿含有建材調査者」による採取・分析が必要です。分析結果は正式な「報告書」として交付され、工事後も5年間保存が義務付けられています。
Q2:撤去とカバーのどちらが安全ですか?
A.飛散防止を最優先するなら、カバー工法です。撤去は「封じ込め作業」が必要で、周囲の遮断・湿潤化・集じん機の設置など大規模な管理が求められます。一方、カバー工法は既存屋根を固定化するため、粉塵発生のリスクを最小限に抑えられるのです。
Q3:工事後の証明書は発行されますか?
A.除去の場合は「除去完了報告書」と「マニフェスト(産廃伝票)」、カバー工法の場合は「封じ込め施工証明書」「施工保証書」が発行されます。これらは将来の売却・賃貸・行政確認時にも重要な書類です。
アスベスト含有屋根の安全改修はジャパンテックへ|稼働を止めずに法令遵守と長寿命化を実現

波形スレート屋根の改修では「安全性」「法令遵守」「稼働効率」の3点を同時に満たすことが求められます。
工場・倉庫の外壁塗装・屋根塗装専門店ジャパンテック(株)では、建築物石綿含有建材調査者による正確な事前調査から、労働安全衛生法・大気汚染防止法に基づく届出支援、そしてカバー工法によるアスベストの封じ込めまでをワンストップで対応しています。
撤去を伴わないカバー工法なら、粉塵の飛散リスクを最小限に抑え、稼働中の工場でも安全に施工が可能です。加えて、断熱材や遮熱シートを組み合わせることで、屋内温度上昇の抑制や冷暖房費削減といったエネルギー効率改善も実現できます。
さらに施工後には「封じ込め施工証明書」や「施工保証書」を発行し、法令対応・資産価値維持の両面で安心していただけます。
老朽化したスレート屋根の安全改修を検討中の法人様は、まずはお問い合わせフォーム・メール・電話にてご相談ください。ショールームでは実際のカバー材や遮熱性能を体感いただけます。
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